鑑賞した日付:2020年頃
書籍「銃・病原菌・鉄」 作者:ジャレド・ダイアモンド★★★
総合点:69点/100点
1997年に出版されて世界的にかなりのベストセラーになった本。最近ではよく西村ひろゆき氏がお勧めしていることでも有名な本。
現在の世界の在り方はどうしてそうなったのか?について書かれた本で、前々から読んでみたいと思っていたものをやっと読み終わったのだが(2020年頃)、僕に読解力が無いからか、寡聞にしてその良さをあまり感じられなかったのでこの総合点。逆に全体を通してツッコミどころというか、「いや、それは違うだろう…」と思う所が多々あったので読後の印象はそれほど良くない。まあ、悪くもないが…。
世界が誕生してから現在の在り方になるまでの事を、つまり結構当たり前なことを、冗長な文章で書いてあるだけの様な気もした。
この本のテーマは「なぜ歴史を通じて異なる社会や文化が異なる速度で発展したのか?、特に西洋社会が他の地域よりも早く技術的に発展し支配的になった理由」について探求するもの。メチャクチャ簡単に要約すると、
人類やその社会、集合体が他よりも早く発展する為に、まず地理的要因が重要だと説き、
肥沃な三日月形地帯(中東の一部)が、農業革命の始まりとなりそれが文明の発展の基盤を作ったと。
それにより農業や動物の家畜化ができ、それが食料生産の増加をもたらし、更には人口増加と複雑な社会構造の発展を可能にしたと。これにより専門的な職業や技術の進歩も促進される。
そしてその際、「鉄」が沢山産出されることで更に技術や開発が進み、最終的に「銃」を先んじて発明し作ったことが、やはり人類の歴史的の上では非常に大きな出来事であると。鉄で作った「銃」はメチャクチャ強力な武器で、その力は他のモノよりもずっと圧倒的であり、それに成功した西洋がアフリカやアメリカ大陸の先住民を支配する事が出来たと。
そしてもう一つ重要なのが、それらの過程が完了する過程で「病原菌」にあまり影響されなかったことも大きいとしている。
逆に言えば、アフリカや南米ではあまり鉄が採れず、且つ、病原菌の影響が凄まじかった為にあまり文明が進まず、『銃』を発明、製造することに遅れ、西洋に支配されてしまったという事になるが、しかしどうだろう。ここからは僕の見解になるが、西洋、とくにイギリスなどは黒土なのに対しアフリカの大地は赤土の大地である。赤土という事は土に多くの鉄分が含まれているからだと聞いたことがある。だとすればアフリカは鉄が沢山採れたはずだし、コンキスタドールが南米を支配した時の決定打になったのは西洋人(スペイン人)が持ち込んだ風邪菌にインディオ達が全く抵抗力を持っていなかったためだとも言われている。ということは、かなり強い病原菌を持っていたのは西洋人の方で、実際、西洋もペストとか天然痘などでかなり苦しめられてきていると思う。いや、そもそも著者はそれも含めて言っているのだが、今一つ釈然としない所があり、その結構当たり前な仮説をもっともらしく且つ冗長に書いた本のように思った。
他にも言いたいことはあるが長くなるのでまた別の機会に譲る。が、僕が思うには、世界が現在の支配構造になった理由は民族ごとの性格によるところが大きいと思う。
う~ん…、この話をすると本当に長くなるのでもうやめるw。
要は、アフリカの大地溝帯でラッキーマザーとかミトコンドリア・イヴと言われる女性から発生した人類がキリマンジャロを超えたか残ったか?で差が出ているという事が言いたかった。キリマンジャロを越えて欧州の方へ行った者たちはそこでネアンデルタール人と会ったが、その場に留まった人たちの子孫は…、その後西洋人に支配されることになったと。それはなぜか?と言ったら、要するにその時そこに留まった人たちは性格が保守的だからである。
著者は「環境と地理的な条件が主な要因である」と強調しているが、僕はむしろ「性格形成はどうして起こったのか?」を追及してほしかった。いや、それについて追及した結果、環境と地理的な要因だと結論付けているのだろうが…、そしてそれも確かに正しいが、ちょっとその点で今一つ釈然としなかったのでこの総合点です。
でも、今思い返してみれば、こういう風に色々考えさせられたのは、結局すごく良い本だった!という事なのかもしれない。なのでもう少し点数をあげても良いかもしれない名著だと思います。