鑑賞した日付:2022年7月22日
アニメ「平家物語」  作者:??
★★★★★
総合点:90点/100点

 とある「琵琶法師」の少女から見た平家滅亡までの15年間。これはいわゆるOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)というもので原作漫画や原作小説があるわけではなくこのアニメを作るために脚本が書かれた作品かと。しいて言うなら作家の古川日出男が現代語訳した『平家物語』が原作と言えよう。


 かなり力を入れて制作されたアニメだと御見受けしたが、全部で11話と昨今の他のアニメと比べれば短くサラッと見ることが出来るアニメでもあると思う。しかしその内容は意外と難しいというか込み入った当時(平安時代)の政治的な話なので登場人物やストーリーを完全に把握しながら見ようとするとちょっと大変かもしれない。海外での評判も良かったようだが日本人の僕が見てもちょっと難しい話だと思ったくらいなので外国人にはなかなか完全に理解して観るのは難しいだろう…と思った。

 登場人物やストーリーを完全に把握しながら見るのは難しいとは言え、何せアニメなのでそういう難しい部分をサラッと簡単に見ることが出来るというアニメ特有の良さもあって良かったと思う。しかしそもそも「琵琶法師」というものの存在や存在意義が外国人には分からないであろうから、やはりそういう難しい概念や単語が沢山出てくるこのアニメを外国人が完全に理解するのは不可能であろうと思った。
(琵琶法師は別の言い方で言えば「語り部」で、これはどこの世界のいつの時代にも存在する役割の人物であるが…。)

 そして、そういうちょっと難しい歴史の政治の話をかなり忠実に…というか丁寧に作ってあるので結構話の途中くらいまでは退屈でエンタメ作品としてはツマラナイと思われてしまっても仕方がないのではないか?という風にも思った。冒険モノという訳でもないし主人公の少女が千里眼を使って問題を解決するサイキックアドベンチャーという訳でもないし全体的にエンタメ要素は低めというか退屈にも思った。しかしそれも、最後の壇ノ浦の戦いのところくらいまで来るとさすがにこみあげてくるものがあるように作られていてそれが良かった。

 「エンタメ作品」としてはちょっとパンチが弱いというか退屈な部分もあるかもしれないが「芸術作品」としては非常に丁寧に作られていて良かったなと思いました。また、それ故に評価は高い、高くなるアニメだと思います。実際、よく作ったなぁ~と思います。こうして『そういうことがあった!』ということを後世に伝えていくことが大切だしそれが「琵琶法師」の役割なのだから…。そういう意味ではこのアニメも貴重な記録ですよ…と。万人にお勧めできる内容だし。

 オープニング曲は羊文学、エンディング曲はスチャダラパーのアニ。