砂の女 (新潮文庫)
公房, 安部
新潮社
2003-03T


鑑賞した日付:2007年12月10日
小説「砂の女」  作者:安部公房
★★★★
総合点:87点/100点

 ちょっと前になるけど、映画化もされているこの作品、安部公房の「砂の女」を読みました。安部公房特有の不気味な小説。凄く嫌な雰囲気の話だけど、なかなか読みごたえがあって良かった。


このお話はそのストーリーそのままの事を書いているのではなく、社会の仕組みや、田舎の社会、その他、いろんな事をメタファとして書いてあるのであって、読みながらいろいろと考えさせられる。

内容は、この著者独特の気持ち悪い世界観があるのだけれど、その気持ち悪い世界観も含め、この著者の独特の感性を感じずには居れませんでした。
江戸川乱歩の不気味さと似ているけど、もっと精神的な部分での異様さや、メタファが良い。

何かを・・・、
例えば社会の仕組みやその中での言葉にならない憤り等を、メタファと言う形で表現している作品。

主人公が、ある穴にはまってから、そこから抜け出せない様子が苛立たしく、かつ、共感できない部分もあるのだが、この話はあくまでもメタファなのであって、”何故かその状況から抜け出せない”と言う事も含め、この話の重要な要素の一つなのだ。

読後感はヒジョ~に気持ち悪くて最悪なのだが、良著と言えよう。

実際、この小説は海外でも高い評価を受け、世界的に知られることとなった作品である。

(この記事、文章は2007年に書いたものです。)








砂の女 (新潮文庫)
公房, 安部
新潮社
2003-03T