天気の子
倍賞千恵子
2020-03-04


鑑賞した日付:2021年1月3日
「天気の子」  作者:新海誠
★★★
総合点:79点/100点

 地上波初、(意外にも)テレビ朝日で21:00から放送された天気の子。今年は自宅待機の影響もあって正月からこれを見た。相変わらずその美術はメチャクチャ綺麗で、それだけでも感動できるレヴェルだし内容も別に悪くはないけど、ちょっと物足りない様にも思った。


 悪い部分が全く無いわけでは無いが、それらは些末なことであり、それを一々揚げ足を取る様に指摘するほどではない。全体的に丁寧に作ってあるので本当に悪く無い内容だ。だが…、やはり「君の名は。」の脚本がメチャクチャ良かっただけで、毎回毎回そうはいかないといった感じか…。本当に悪くはないのだけれど、映画が終わった時に、「え…、…これで終わり…?」と思ってしまった。なんだか非常に軽く、簡単に作られた話のようにも思えた。あともう一捻りか二捻りあっても良かったストーリーだったかなと。

サカサマのパテマ」の所でも書いたが、ちょっと…、
「そんな訳ないじゃん…(真顔)」
という風に思ってしまうSFでもあったし、その設定にのめり込めなかったなと。

 思っていたよりも“軽い作品”という感じがしたし、その割には意外と見続けるのがダルい展開が続く作品でもあったように思ったので、ちょっと総合点は低くした。

 けれども決して悪い作品ではなく、むしろ僕はなんだか色々と…、ちょっとしたアイデアを貰ったような気にもなったというか、幾つかのインスピレーションを得た。しかしそれにしても軽い。説明が無さ過ぎる。ヒロインの女の子はなぜ天気を操る生贄・人柱みたいになったのか?、主人公はなぜそこまでして東京に出てきて、それこそネカフェ難民やホームレスみたいな状態になってまで東京に出てきて生活しているのか?説明がなさ過ぎるだろと。しかもその底辺のバイトやネカフェ難民みたいな暮らし、底辺の酷いアパート暮らしとかにリアリティがなさ過ぎる。おそらく、新海誠監督自身は大金持ちのエリートボンボンで、そういう底辺の暮らしとかを知らないのだろうなと思わざるを得なかった。

 忍野メメみたいな男(須賀圭介)がK&Aプランニングという「有限会社」を営んでいる様だけれど、有限会社というモノは現在ではもう存在しない。存在するとすれば、その法改正のあった2006年以前から営んでいるということになるが、新海誠監督はそういうこと分かっているのだろうか?あの個人的な編集プロか探偵事務所みたいな事務所の感じはちょっと憧れるけどね…。

 須賀圭介の姪で本田翼が声を担当した「夏美」が、本当に妖艶な女性…と言う設定なら、この御時世なら尚更、就職活動に失敗するわけないじゃん…。なにその御都合主義でありがちな展開…。これまでの作品を見ても、新海誠監督はそういう現実的なことが何も分かっていない人…という感じがしてしまう。逆に言えば、僕は視点がシニカルすぎるんだろうけれど…。

 あと、新海誠監督作品特有のあのドーショーもなくこちょばゆくて甘っちょろい青春・聖人君子的な“臭さ”はかなり消臭されていたようにも思った。だから良かったなと。

ただ全体的に浅い。とにかく浅かった。

君の名は。評価

言の葉の庭の評価

秒速5センチメートル、評価







天気の子
倍賞千恵子
2020-03-04