鑑賞した日付:2018年8月9日
「魔法少女まどか☆マギカ & 叛逆の物語」  作者:虚淵玄 新房昭之
★★★★★
総合点:170点/100点

前々から評判の良かったこの作品、「魔法少女まどか☆マギカ & 新編 叛逆の物語」をやっと見た。
評判にタガわず本当に凄い作品だった…。
最初に言っておくが、そしてもう、殆どの人なら知っていることだと思うが、この作品は小さな女の子向けの「魔法少女モノ」のアニメではない。繰り返す。この作品は幼女向けの作品では、ないッ!!


最初に見た時は凄い話すぎて暗い気持ちになるというか、あまりにも重い作品で良い印象では無かった。
手塚治虫の「火の鳥」みたいなところもあって、良い作品だけれど人をこんなに嫌な気持ちにさせるものが果たして本当に良い作品と言えるのかどうか…、という妙な嫌悪感みたいなものがあったが、いずれにせよ、今まで見た全ての映画の中でもトップと言って過言では無いインパクトのある作品だったことは確かだ。
良すぎてダメ!というくらい凄い作品だった。

とても語りつくせない良さがある。

人を怖がらせたり驚かしたり嫌な気分にさせることで人の心を動かすのは簡単だ。
極端な話、グロ画像でも見せておけば人の心は動く。
だが、人を良い気分にさせて人の心を動かすのは難しい。
だから、本当に良い気分にさせてくれるような良作は難しいし少ないのだろう。

それこそ手塚治虫などは、日本の高度成長期に「鉄腕アトム」や「リボンの騎士」などを描いて国民を元気づけた功労者でもあり、そういう作品もたくさん書いているわけだが、はたして「火の鳥」みたいな重くて嫌な気分にさせる内容の作品を「良い作品」と言って良いのだろうか…?
ちょうどそんな事を考えている時に見たのがこの作品だった。そしてそれはこの作品に対しても言える。なので、その一点だけで、「涼宮ハルヒ」より少し点数を下げた。

絶対に実写化できないし、アニメでなければ絶対に表現できないことをアニメでやっているという事も素晴らしい。


今更、この御時世に、この「まどマギ」オタク向けの魔法少女アニメだと思っている人は既にいないと思うが、もしそう思っている人が居るのなら、お前はかなり文化や芸術、エンタメ、情報に対して鈍いと言える。
その偏見を捨てて是非見てみてほしい。

マジでとんでもない作品だった…。

ただ、他サイトや5ちゃんのスレなどを見ると、この作品について全く理解できていなくて「面白く無かった」とかヌかすウツケ者が結構いるんだよね。そういう馬鹿は一々「面白く無かった!」と、その自分のバカさ加減を表明することなく即、四ねばいいのに・・・と思った。。だってこの作品の良さが分からないとかいう馬鹿はこの世に必要ないじゃん。そんなバカは四んだ方が世の為人の為じゃん。絶対に。どう考えても。…と、小一時間問い詰めたいw。

実は僕の周りにも一人そういう輩がいたが、この作品をどう思ったか?と聞くことで、人としての最低限の知能があるかどうかを測ることができるとも思っている。
この作品を単に「おもしろくねー」とか、「よくわからなかった」とか、まだ見てないとかいう奴とはあまり相容れないであろうから、あまりソイツとは合わないようにしようと思った。
まあ、ハルヒとかに関してもそうかな。


↓↓↓↓以下、ネタバレ的考察↓↓↓↓

作品の内容やあらすじをここで語っても仕方がないので、僕の個人的な感想や考察を書いておく。
しかしそうするとそれはすなわちネタバレになってしまうのであまり言うことも出来ないのだが…、

まず、僕はこの作品を予備知識が一切ない状態で見た時、3話で既にこの話は…「風俗嬢」の話なんだな…と理解した。というか風俗嬢や風俗の世界のメタファなのだな…と。しかし意外にも、後にネット上を検索してみてもその様に解釈している人はいない様だった。なので、なぜ僕がこの話を「風俗」の話だと思ったのか、少し検証しながら書いておく。というか全てと言って良い程、この話は風俗の事と置き換えられると思う。「魔法少女」という言葉を全部「風俗嬢」という言葉に置き換えても何ら違和感が無い。だから、この作品は風俗嬢になる様な女の子の悲しみと苦しみと愚かさを描いた作品だと思っている。

以下にそう思う個所というか根拠を羅列しておくと・・・、

まず、第二次成長期を迎えた女子中学生、まどかさやか、などが出てくる。
ある日まどかはヒョンなことから風俗街のような所に足を踏み入れ迷い込み怖い思いをする。
しかしそこでマミさんに助けられる。聞けばマミさんは既に風俗で働いているという。
風俗で働く風俗嬢というのはあまり良く無い事なのはまどかさやかにも分かるが、
思春期特有の無力感や、何かしたい!とか、人の役に立つことをしたい!とか言う気持ち等を持っていたまどかは、なんであれ自分の力で自活して自立して生きているマミさんに強く憧れ、良く無い事なのは百も承知で自分も風俗嬢になりたいと思うようになる…。

というお話だ。

キューベェは(オスっぽい名前だが)性別不明なのに、マミさんは「急かす男は女の子に嫌われるゾ!」とキューベェをオス判定する。つまりキューべェは風俗店の男性店員。スカウトも担うボーイ。殺しても変わりはいくらでもいる。

「魔女」という存在が今一つ分からないが、基本的に風俗嬢の日常業務は接客なのだから、その日常業務というべき「魔女退治(接客)」は実はそれほど大変ではない。それよりも、お客の取り合いや縄張り争い、他の風俗嬢(ライバル)との戦いの方が熾烈を極めたりする。ホムラが結局何度世界をやり直しても大体の場合において、魔法少女達はケンカしてしまう。まどかの言う通り、同じ魔法少女なのだからみんなで協力して助け合ってやっていければそれが本当は一番良いのに、結局いつもケンカになってしまう。それが風俗嬢の愚かさを表している様に思った。

この話は、意外と「闇金ウシジマくん」のフーゾク編と似た話だと思う。
風俗嬢というのは、たまに出てくるシリアルキラーみたいな異常者に命を狙われやすい。
アメリカの連続殺人鬼の被害者の多くはコールガールである。

ホムラに関しては、昔キューベェと契約して風俗嬢になった風俗嬢で、今は風俗嬢を助ける様な活動をしている元風俗嬢の活動家の(NPO団体とかの)女性のようなものなのかな…?と思っていたけれど、ホムラ自身も、もう一度風俗の世界で活躍したい、若しくは、良い状況で風俗界から抜け出したいと思っている人…なのかなと思った。
これは少し偏見もあるが、風俗嬢になった時点で、大抵の場合は幸福なその後は無いと思われるからだ。
しかしまどかは違った。まどかは非常に男受けしやすい顔や体、性格をしており、その才能はキューベェやベテランのホムラから見れば一目瞭然。「もし、君(まどか)が風俗嬢になったらあっという間に「太夫」になれるよ!」とキューベェは言っているのだ。そしてホムラにもそれが分かるから、ホムラまどかを風俗嬢にさせまいと奮闘する。「家族や友達は大切か!?」と。風俗嬢になってしまったらもう、そういう普通の一般人とは相容れなくなってしまうからだ。風俗嬢になった後も、今まで通りそういう人達と今まで通り接することなんてできないし、できなくなるよ!と。マミさんみたいに止むに止まれぬ家庭の事情(交通事故)で風俗嬢(魔法少女)になった人は仕方がないけど、まどか、あなたは大切な(まともな)家族がいるでしょ!と。

この話はちょっと五社英雄監督の「吉原炎上」にも似ていて、吉原炎上の名取裕子は姉御衆から「いい匂いがする」と、特別な才能を見抜かれている。

2020-9-12追記 
そもそも、魔女であれ何であれ、敵と格闘して戦わなければならないという場合、どう考えても男性の方が戦闘向きの体格をしていたり運動神経を備えているモノである。にもかかわらず、魔女を倒すのは必ず魔法少女でなければならないというのはおかしい。つまり、魔女退治は女の子にしかできない仕事なのだ。魔法少女には女の子しか成れない。風俗嬢というのも、女の子でなければ出来ない仕事だ。


他にもいくらでもある。

例えばキューベェが魔法少女達の魂をソウルジェムに置き換える…というシーンについて、
あれは要するに、「君たちが風俗嬢として契約すると同時に避妊手術をしておいたよ!」ということを言っているのだと思う。「毎回毎回、お客と接する度に(魔女と戦う度に)妊娠なんかしちゃいられないだろ…!」と。「そんなの当たり前じゃん。知ってるくせに…なぜ怒るんだい?ワケが分からないよ…」と。
だからさやかはもう子供も産めないような、つまり通常の人間の女ではなくなったのだから、上条恭介君に合わす顔がなくなって告白できなくなった。こんなゾンビみたいな自分じゃダメだ…と。


ちょっと言っていったらキリが無いので、以下、簡単に…。

・全員、苗字と名前で独立した名前になるのは、風俗嬢でいう所の「源氏名」を表している?

佐倉杏子は摂食障害。摂食障害と風俗嬢は切っても切れない縁がある。
また、住所不定で基本的にゲームセンターの様な下賤なところに居る。
そして風俗街がある大きな街へ“渡り歩く”。田舎に風俗街などないから。

ホムラ杏子に「魔法少女にはあなたの方が向いている…」と言うのは、杏子が風俗嬢特有のあっけらかんとした性格をしていて、あまり考えないタイプで、男(ホスト等)に貢いで破滅するタイプのさやかよりマシ…という意味。

まどかは結局、初出勤でトンデモナイ大物政治家の太客を捕まえ結婚することで風俗界を脱し、
全ての風俗嬢が苦しまないように風営法自体を変えてしまった。

・のちにホムラは、まどかが久しぶりに視察に来たスキを狙い、まどかが捕まえた大物政治家の愛人となり、経営の側に回った。(悪魔ほむら)

・新しくホムラが社長として運営していくことになった風俗店では、さやかが相変わらず風俗嬢として、キューベェはスカウト兼ボーイとして働くこととなった。

・魔法少女になれば、なんでも一つだけ願いが叶うというが、風俗嬢、特に人気ソープ嬢ともなれば月に200万円以上稼ぐ子もいるそうで、それだけお金があれば、表の世界の願い事なんてなんでも叶うということ。ただし、お前自身は一生裏社会の人間として日の目を浴びず生きていかなければならないけどね…という話。


いやいやそんな風俗設定で見なくても、充分面白くて深遠な良い作品なんだけどね。

ヤヴァイ。延々と語れる・・・。なのでこれくらいでやめる。
また思いついたら書こうと思う。












2020/05/26追記

幾つかの哲学的で深遠な問題提起にもなっていて凄かった。
細かなことではあるけれど、例えばエントロピーの問題とか、そもそもまったく感情がないロボットのような存在(きゅーべぇ)が文明を進めることが出来るのか?とか、よく考えると、というかよく考えても答えが出ない様な、深遠な問題提起もちりばめられていた。
バカな女の子達が夢見る稚拙でメルヘンチックな(魔法少女という)思い、理想像…に対する強烈な皮肉みたいな作品。
それが…、可愛そうなんだけどね…。