ダンガンロンパ10th Anniversary Complete Blu-ray BOX
斎藤千和
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2020-11-25


鑑賞した日付:2019年12月26日
「ダンガンロンパ・シリーズ」  作者:小高和剛
★★★★★
総合点:98点/100点

ダンガンロンパ3、未来編、絶望編、希望編も見た。
残虐なカワイイマスコット「モノクマ校長」の声をドラえもんの大山のぶ代さんがやっているのが特徴。
ちょっと「まどマギ」みたいな怖さや毒、世界観や演出も感じるアニメ作品。


元々はゲームだったものをアニメ化したのかな?そのアニメを視聴。
なのでどこからどう視聴すればいいのか分からない人の為に一応説明しておくと、
まず、基本的にこの作品は「アニメ」と「ゲーム」に分かれていて、ゲームをやる気が無い、アニメだけを見たいという場合は、アニメ「ダンガンロンパ」を12話見る。次にアニメ「ダンガンロンパ3」の未来編12話、絶望編11話、希望編1話の順で見ていけば良いが、絶望編と希望編は繋がっており、希望編というのは最後の最後のネタバラシ、解決編みたいな回で、通常のアニメの一話分(25分ほど)しかない。それだけ見れば良い。少なくともアニメは「シーズン2」というのは無い。77期生がジャバウォック島でどのように復活したか?が南国バカンス的雰囲気の中で描かれる「絶望的修学旅行編」だが、これはゲームであり、アニメ化はされていない。それは見なくても一応、ストーリーは追える。
「ダンガンロンパ」というとよく出てくる金髪の女の子「赤松楓」は、「ニューダンガンロンパV3」というゲーム作品の主人公。アニメには出てこない。

さて、以下、アニメ「ダンガンロンパ・シリーズ」についての感想を語っていく。

話数が進むごとに非常に複雑な話になっていくが、その話がどこまで行っても全く矛盾が無いように連鎖していき、回収されない伏線もなく、非常に統制されて考えつくされた脚本でこれは本当に凄い。

 最終的に話が非常に複雑なものとなり、登場人物も半端では無いくらい増えるので、一回通り観ただけでは全てを理解するのは難しいだろうが、後から何度見ても伏線を発見できたりして面白いと思う。
登場キャラが多くなり過ぎて、かなりの主要キャラでも声優が掛け持ちで(一人二役で)演じているほどだ。
あと、最初から設定などはガバガバなので、その辺は割り切って観ることが大切。

【ダンガンロンパ1】
 設定が完全な不条理世界というか、15人の特別な才能を持った人達が何らかの理由で非現実的な状況に陥れられるというものなので、その辺りの無理のある設定などの事は別に良い。過剰でデフォルメしたキャラクター付けやデザインやセリフなども、それはそういうアイコンとして使われているだけなのでそれも良い。最初の、チュートリアルになる1話2話も、不条理ながらも細かい説明をせずにドンドン進む感じも良い。
要するにこれは箱庭実験というか、現実には無理のある設定内で行われる思考実験を分かりやすくアニメにした現代的な少年推理小説みたいな内容なので、そういう点での御都合主義的な、あるいはアニメ的演出は逆に分かりやすくて非常に良いと思ったということだ。むしろ、抽象的、且つ、非常にキッチュで狂気的に描かれる処刑シーンなどは芸術的とも言え、とても良かったと思う。もっと残虐で狂気な描写でも良かったと思ったほどだが、あれぐらいがちょうど良いのだろう。

 凄くシリアスで恐怖感を煽るような本当に怖い話のような、そういう持って行き方、演出の仕方、表現の仕方もあったろうが、これはこれで良かったと思うし、そういう恐怖や狂気を表現する作品ではなく、あくまでも推理とその思考実験を表した作品なので、やっぱりこれで良かったんだろうと思う。

とにかく、そういう“縛り”の思考実験をそのままアニメで表現したような作品。
全体的には勿論、子供向けというか、犯人が残した証拠や推理、トリック、絵柄が幼稚なのだが、これはそういうものとして初めから作られているのでそれは良いだろう。繰り返しになるが、そういう部分が逆に分かりやすく、省略して大胆に描かれているのが良かった。

少年推理小説と映画「Cube」と「SAW」と、あとゲームの「逆転裁判」と「人狼」を混ぜたようなお話です。
というか最初は要するに「人狼」をアニメ化したのか?…と思った。

:以下、1のネタバレ:
最後に大どんでん返しがあって良かった。
善悪の価値観が反転するような意味合いになるラストの真実も良かった。
要するに、内側に超高校級の絶望が紛れ込んでしまっているけれど、本当は外に出ないほうが安全で良いんだよね!?むしろ外の世界の方がヤバいですよっ!というオチが、まったく予想できなかって良かったと思います。
つまり、最後までオチが読めなかったのが良かったなと。



【ダンガンロンパ3以降】
超高校級の才能を集めた学園で起こる殺人事件…という事で言えば、西尾維新の「戯言シリーズ・クビキリサイクル」みたいなところもある。
この「3(未来編)」の方が、設定的にはより一層、人狼っぽくなる。

:ネタバレ:
ダンガンロンパ3【絶望編】は江ノ島盾子が強すぎて最後の方は本当に見ていて辛い…。マジで気分が悪くなる…。七海が死ぬシーンとかはヤバすぎてダメ。それで総合点を落としていると言っても良い。流石にキツ過ぎる。特に雪染や77期生を無理やり洗脳していくところは…嫌な話になり過ぎ。
村上春樹の「海辺のカフカ」のジョニー・ウォーカーさんがネコをチョメチョメするシーン並みに目を背けたくなる。


全体的に、
ハッキリ言って、上記の【絶望編】のヤバすぎるヤバさ意外には文句なしだ。非常に面白かった。
典型的なアニメ絵だけど、ポップな絵が綺麗で話の伏線、繋がりが凄すぎる作品でした。
実写版とかも出ているのかもしれないけれど、基本的にアニメでしか表現出来ないものなのも良い。

もし、僕自身がこの話に登場するのなら、僕のキャラ設定は「超・高校級の博学者(物知り)」か、「超・高校級の分析官(プロファイラー)」かなと。サイコパスに出てきた雑賀譲二みたいなところがあるからね…、僕はw。若干、霧切響子とキャラ被るかも…。それか苗木誠かカムクライズル。)